ラ・マンチャの男

アート

今日は日比谷の帝劇で松本幸四郎の「ラ・マンチャの男」を観劇。さすがにお盆の日比谷は静かだが、劇場は満員だった。

僕は若い頃はNYに出張に行く度にミュージカルを見ていたので、コーラスライン、42nd street、オペラ座の怪人など有名どころは見ている。でもラ・マンチャはなぜか見損なっていたので、日本で舞台を重ねている幸四郎で見ることにした。

ストーリーはピーター・オトゥールとソフィア・ローレンで映画化されたものを見ているので十分分かっている。原作者のセルバンテスが投獄されていた時に、ドン・キホーテの物語を入牢者と共に演じ、そして語るという話だが、セルバンテスの人生とドン・キホーテの物語が交錯するすぐれた脚本だ。ところでミュージカルの映画化はほとんど舞台と演出を変えないことが多い。なぜならミュージカルは歌が生命で、歌詞を変えることが難しいため、おのずと物語が歌に拘束されるのだ。この映画は現在ではあまり顧みられることはないが、トニー賞を2度受賞した舞台に劣らない出来だという評価を得ている。

さて幸四郎の舞台だが、3時間余の休憩のない構成、でオーケストラも良かったし、出演者も手慣れた演技で十分楽しめた。さすがに幸四郎もアルドンザ役の松たか子も歌はブロードウエイのレベルではない。セルバンテスとドン・キホーテを演じる幸四郎だが、ユーモアとアイロニーを振りまくセルバンテスとしての幸四郎はともかく、憂い顔の騎士ドン・キホーテとしては少し狂気が欠けていたようにも思う。だが、そこを差し引いてもエンタテイメントとして上質な仕上がりだと思うし、幸四郎の存在感は際立っていた。

今回は1時開演だったので、その前に帝劇の隣の国際ビルのスペイン料理屋でサルスエラを食べた。食事からスペインに入り込めたので、今回の公演は少し点が甘くなったかもしれない。

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