少し変わってきた「放射能」の風向き

精神科医の立場から常に鋭い批評を行なっている斎藤環氏も、現在の放射能レベルのリスクが非常に低いものであり、原発事故による最大の被害は、子どもの“放射能トラウマ”であることを指摘している。

その観点でいわば最大の加害者であるマスコミの風向きも、少しは変わってきた。先日のNHKでは日本への中国人観光客が増加の傾向にあることを放送していた。インタビューされた中国人観光客が、日本各地の放射能と世界を比較して、日本の残留放射能が全く心配するようなレベルでないことをネット等で確認したからだと言っていたのだが、これが日本のマスコミにとっては「驚き」=ニュースであることがなさけない。本来なら、マスコミがちゃんとした学習をもって主体的な発信を行っていれば、日本の母親と子供をトラウマに陥れることもなかっただろう。

様々な分野の学者も次第に、放射能の風評やケガレ的伝搬性のもたらす社会的なリスクについて発言を始めた。面白いのは風向き次第でころころと立場を変える武田邦彦氏のような確信犯である。武田氏が名を上げたのは、原発の拡散を風向き等から予測するSPEEDIというシステムの運用についての批判であった。それ以降放射能の危険を過剰に喧伝することで、マスコミの寵児となった氏だが、最近は風向きが変わってきたことを敏感に察知し、微量放射能がむしろ体に良いというホルミシス効果を言ってみたりしている。

僕は武田氏の言うことは最初から全く信用していないが、彼の風向きに対する感受性、その逃げ足の早さにはさすがと敬服している。少なくとも僕にはそんなまねはできない。

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