青木繁展

土曜日の山行が思いがけず中止になったので、この週末がまるまる空いてしまった。そこで、行こうかどうか迷っていた展覧会に行ってきた。教科書の「海の幸」でおなじみの青木繁展である。

確か中学生の時に石橋美術館に行ったので、海の幸は見ているはずだが、実はこの絵の記憶は全然ない。今回改めて見た絵は、思ったより小さかった。でも確かになんというか、天才が突然生み出したとしか言いようのない作品だ。

青木繁のもうひとつ重文指定作品が「わだつみのいろこの宮」である。僕としては、神話に題材を得ている「わだつみ」の方が好きだ。青木繁の描く神話世界はちっとも神話然とはしておらず、むしろ日常と繋がっているが、同時に日常を拒絶する聖なる輝きがある。青木は日本のみならず世界の神話にインスパイヤされていたらしく、旧約聖書に題材をとった作品なんかもいくつか展示されていた。紅海を前にしたモーゼの姿を描いた小品もあった。映画「十戒」のあの有名な場面である。

青木繁は29歳で死んでしまった。そもそも作品の絶対数が少いので、この展覧会は習作や関連資料が多い。だがそれが却って、青木の生きた時代と彼の息づかいをリアルに感じさせた。例えば、彼は1903年頃に同郷で親友だった画家の坂本繁二郎らと、妙義山に写生旅行に行っているのだが、その時のスケッチに混じって旅館の宿帳が展示されていた。、青木は職業を「画伯」とし、年を24歳(実際は21歳か)とサバを読み、身分(当時は身分を書かねばならなかった)を「士族」と書き残している。

単にミーハーなのか、近いうちに妙義山に登らないといけないと感じているのである。

 

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