赤瀬川原平の名画読本 日本画編

赤瀬川原平と山下裕二の二人は、日本美術ファンにはおなじみのコンビです。

この二人は「日本美術応援団」なるものを結成して、日本美術に関する対談や紀行(奇行ではない、近いが)を幾度となく行ってきたのですが、その活動のそもそもの発端となったのが、10年以上前に河童ブックスから出版された赤瀬川原平の「名画読本」でした。

今回文庫本として再刊されたので、買ってしまいましたが、やはりこの本、今読んでもむやみに面白いです。赤瀬川原平という人は、今でこそ好々爺風の容貌で中古カメラの愉しみとか、「老人力」なんかについて語っているのですが、もともとは筋金入りの前衛芸術家で、銀座の真ん中で清掃活動のパフォーマンスなんかをやってました。 NYでのストリーキングが朝飯前だった草間彌生なんかもそうですが、とにかくこの時代の人は、理論よりやることが痛快の領域に達していましたね。

赤瀬川原平は徹底して素人の目線から日本美術の傑作を解体していくのですが、その切り口の鮮やかさ、文章の面白さは、ちょっと比べる人がいないと思います。

後書きで、いまや大学教授となった山下裕二がこう述懐しています。「ここ十年ほど、「玄人」と「素人」、「プロ」と「アマ」の違いとは何だろう、とよく考えるようになった。 ・・・ もし、赤瀬川さんと出会って、たくさんの仕事を共にすることがなかったなら、私は、「玄人」「プロ」としての立場にあぐらをかいて、のうのうと「美術史家」でございます」、「うーん、この作品はちょっと、いかがなものでしょうかねえ」みたいに振舞っていたかもしれない。」

そう、赤瀬川原平とは、本人も自称するプロの素人ですが、その境地とは変な話ですけど、素人が(いや大学教授でさえ)とても及ぶところではないのです。

子供のように描けるようになるまでに何十年も要したと語ったピカソのように、感じるままを伝えると言うことは難しいことなのですが、赤瀬川原平の前ではどんな名画も進んで自らの物語を語りはじめるかのようです。

高階秀爾の「20世紀美術」(これはこれで好きです)を読んで、赤瀬川原平の本を読むととてもシュールな気持ちになれます。

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