中欧怪奇紀行

田中芳樹と赤城毅の「中欧怪奇紀行」 中央公論新社

僕は日本の怪奇、幻想についての本は色々と読んできた。太古の闇にうごめく妖怪変化、その幻想の奥行きは果て知れず、広がりは無限と思える。現代になって水木しげるが創りだした様々な妖怪達も、アジアの混沌とした風土と歴史がはぐくんだ魑魅魍魎の子孫なのだ。

そこでふと、欧米の妖怪はどうなのだろうという好奇心が湧いてきた。以前このブログでも取り上げたジョージ・R・R・マーティンによる「風と共に去りぬ」のファンタジー版小説(と勝手に僕が思っている)「フィーバードリーム」は、現代の吸血鬼の物語だった。欧州で吸血鬼に匹敵する存在といえばフランケンシュタインだ。でもその他といえばせいぜい狼男くらい。こちらはちょっと格落ちである。その他はいったいどうしたのだろう?

で、「中欧怪奇紀行」なのだが、田中芳樹と赤城毅という二人の小説家が欧州を駆け巡り、怪奇と幻想を拾いあげてくれるという趣向だ。だが、この口八丁の碩学ふたりをしても上記の3人(3匹?)以外に妖怪のスターは見いだせない。

つまるところ日本の妖怪文化の豊かさは欧米の比ではない。今回の欧州についての本は僕に、日本の素晴らしい妖怪文化についての思いを新たにさせた。もちろん僕も(二人の著者と同じように)水木しげる先生の申し子なのだ。

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