未完の横尾忠則

アート

「未完の横尾忠則」 美術出版社

図書館で横尾忠則に関する新刊を見つけて、忘れ物を見つけたような気がして借りてしまった。一昨年だったか世田谷美術館で「冒険王・横尾忠則」という展覧会に行こうと思っていて、結局行きそびれてしまった後悔が心に残っていたからだ。

この本はと言えば、昨年金沢の21世紀美術館で開催された横尾の個展に合わせて制作されたものだ。たくさんの図版がきれいに掲載されており、かなり力が入っている。サイズがB5と小さいのが玉にキズだ。

「横尾忠則さんには、これで終りということがない。60年代から作り続け、描き続けてきた。それも当たり前のように新しいことをしてきた。作り上げたと思うと壊し、また新しいことに挑戦していく。この言い方は正確さを欠く。ほんとうは、いろいろなものが地下水脈のようにつながっていて、現れては消え、消えては現れるということを繰り返す。いわばいろいろなものが同時に混在しているといった方が正確だろう。」

評論家や美術史家の寄稿も多く掲載されており、現代の浮世絵と評する人もいたりするのだが、、秋元雄史のこの言葉が横尾忠則を一番良く物語っているように思った。

「冒険王・横尾忠則」に出展されていた絵もあったが、やはり現物を見たかった。美術展も旅も、もちろん山も、思い立ったが吉日なのだ。

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