ラギッド・ガール

読書

飛裕隆の「ラギッド・ガール」 早川書房

本のイメージを取り込むのに当初カメラを使っていたが、次第に面倒になり一時amazonの画像を使っていた。ところが最近プリンタのスキャナを使うのが意外に手のかからないやり方であることを発見した。プリンタはいつもPCに繋がっているので、PCからスキャンすればカード抜き差しなどなしに取り込めるのだ。この本のようにかなり厚手の本でも、問題なく取り込める。

「ラギッド・ガール」は数年前に日本のベストSFとして賞を受けた作品だ。その評判だけで借りてしまったが、確かに面白い。内容的には仮想現実世界を扱ったもので、題材としては特に目新しくはない。ちょっとひねってあるのが、人間が直接仮想現実をリアルタイムで体験するのではないところだ。自分の分身を仮想現実で構成されたリゾートに送り込み、帰ってきた分身を再体験するという仕掛けだ。

こう書くとかなり荒唐無稽なSFという感じがするが、分身が体験する現実は本人の体験として書かれるので、そんなに違和感はない。この違和感のなさは、僕らは既にGoogleの構築した仮想空間の中に住んでいるという認識もあるかもしれない。ここ数年で現実がSFを超えている部分があると思うのだ。

著者がうまいと思うところは、仮想現実として描かれるリゾートの記述である。特徴的なシンボルが巧みに配置され、リゾートの香りが漂ってくる。そして仮想世界の謎の中心として描かれるのが、シェルパ達の活躍する山岳的世界である。

登山は究極の娯楽であるという世界観が楽しい。著者はよく「現実」がわかっていると思う。著者のバックグラウンドは何も知らないが、登山を趣味としているのではないだろうか。

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