児玉実英の「アメリカのジャポニズム」(中公新書)
ジャポニズムは19世紀の中ごろに欧州を各国を文字通り席巻し、アメリカもその例外ではなかったのですが、それについて語られることはほとんどありません。児玉実英の「アメリカのジャポニズム」は、アメリカに焦点をあてた珍しい本です。
欧州のジャポニズムが1851年のロンドン万博がひとつの契機になったのですが、アメリカのジャポニズムは1900年のNYでの「蝶々婦人」上演が重要な出来事だったようです。そして以降日本のキモノが部屋着としてアメリカに定着していきます。この本には当時の日本風ファッションが紹介されているのですが、どれもお世辞にも美しいとも、センスが良いともいえない。アメリカの「キモノ」は欧州のジャポニズム風ファッションを参考に作られたいわば、真似の真似だったのですからまあ仕方がありません。それでも20世紀初頭のアメリカは、欧州にまけないくらいのジャポニズムの熱狂があったようです。
絵画、建築、陶芸それに庭園と、日本のスタイルが取り入れられていくのですが、特に人気があったのは日本の軽業芸人だったようです。
そういえば絶頂期のオリビア・ニュートンジョンが主演したのに、興行的に大失敗した「ZANADU]というミュージカル(1980年ラズベリー賞最低監督賞を獲得)があるのですが、その中に出てくる綱渡りの曲芸の場面などは、遠いジャポニズムの記憶がエコーしてます。映画は全然ダメでしたが、ELOの楽曲は僕のお気に入りです。
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