K-20

「回想の江戸川乱歩」を読んだ影響で、乱歩をまた読みたいなと思っていたところに、高校時代の友人から映画の「K-20 怪人二十面相・伝」が面白いから見るべし、とのメールが飛び込んできたので、遅ればせながらも先週映画館に足を運びました。

実は友人の「面白い」というところには、出身地の北九州市や博多でロケが行われていたことが含まれています。日本映画にありがちな、詰めの浅い部分もありますが、全体として見れば、とても楽しく面白い娯楽映画に仕上がっていると思います。

あの「三丁目の夕日」のスタッフが再集結したらしく、冒頭のCGがとても効果的で、第2次世界大戦が回避された1949年の帝都というパラレルワールドに一気に入っていきます。なにより、主人公(金城武と松たか子)のふたりが世間離れしてて良い。何たって我らが異界のヒーロー、怪人二十面相なのですから、並みの俳優では無理ですよね。

ここで脱線してしまうのですが、第2次世界大戦のパラレルワールドとして思い出すのが、P.K.ディックのSF小説「高い城の男」です。ディックの作品は一時良く読んだのですが、高い城の男はその中でも印象深い作品です。

「城」の方は「K-20」とは異なり、第2次世界大戦の結果として枢軸側が勝利した世界の物語です。ドイツ人や日本人が支配階級として存在し、米国や英国が下層民として使役する世界をディックが悪夢的に描いているのですが、日本人の僕には案外リアリティのあるパラレルワールドでした。

K-20の方は、そのような悪夢としての世界ではなく、三丁目の夕日に直接繋がるなつかしさの世界です。浮世離れした二人の俳優だけれども乱歩の原作そのままでは、怪人20面相が滑稽になってしまう危険性があるのですが、パラレルワールドという仕掛けが、乱歩への先祖帰り装置としてうまく機能していたと思います。

久しぶりの映画館だったのですが、大満足です。

コメント

  1. SK より:

    結構、速いペースで更新されています。
    やっとアンパンマンを手に入れるところですが。まるで追いついて
    いません。
    あまり関係はないですが、明日から三日間台湾です。残念ながら
    どこのも行く間はありませんが・・・

  2. artjapan より:

    SKさん

    台湾ですか。もう10年以上行ってないけど、大きく変わったのだろうな。

    ところで、K-20はDVDがでたらご覧になることをお勧めします。怪人20面相は博多ロケで骨董品的な建物の残る箱崎を走り回ったらしいです。

タイトルとURLをコピーしました