天気がいまいちだったので練馬区の美術館に行ってきました。ここはビッグネームの作家の展覧会は少ないけど、気の利いた企画が多くお気に入りの美術館のひとつです。今回も植物の熊が出迎えてくれました。
美術館の前には熊の外にも子どものための色々なオブジェがあります。
美術館では「19世紀パリ時間旅行」と題してフランス文学者の鹿島茂氏の膨大なコレクションから19世紀のパリ、特にオスマンによるパリ大改造の前後を記録した資料、作品を中心に展示していました。最初の部屋から19世紀初頭のパリの地図、設計図、俯瞰図、風景画など様々な景観が溢れています。パリは2度しか行ってないしそれほど馴染みがないということもあるのですが、パリの失われた風景なのにどうもあまりワクワクしない。少し考えてそれはたぶん、まだエッフェル塔ができてない風景だからだと思い当たりました。
部屋を進むにつれて、パリが改造され、さらに何度か開かれた万国博覧会によってエッフェル塔やいくつかのセーヌ河河岸の建物が加わっていき、僕の知っているパリに変貌していくのですが、石と鉄でできた巨大で美しい建物ができていく一方で壊され、朽ち果てていくパリもまた幾多の画家により描かれ、ダイナミズムと郷愁に満ちた重層的なパリが記録されていきます。
作品はエッチングが多いのですが、木版、石版、写真、ポスターなどもありました。細かい描線によるエッチングもなかなか良いものだな、と感じました。19世紀の富裕層のドレスなんかも展示してあり、とても充実した展覧会でした。
これは美術館の花壇にあったつつじ。展覧会は6月4日までです。
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