笑いの力

読書

河合隼雄、養老孟司、筒井康隆の「笑いの力」

この3人、精神分析医、解剖学者、小説家だが、いずれも専門家としての枠をはみ出して活躍する人たちだ。

最初の講演者は河合隼雄。精神分析医とユーモアはどうしても僕の頭で結びつかないのだが、この人は卓越したユーモアのセンスで有名だ。彼が児童文学の笑いについて語るのだが、その中に当然のように長新太が出てきた。

次は養老孟司、いうなれば死の専門家だ。この人はいつも唯脳論的な話が枕になるのだが、一神教と笑いとの関係の話はなるほどと思った。一神教では神の名のもとに唯一絶対の真実があることになっている。だから一神教の長い伝統にある西洋ではその不合理な真実を希釈するためにユーモアが要請される。日本はもともとユーモアのある国なのに、一神教的な価値観を付け焼刃で輸入したから、西洋的な意味でのユーモアが当たり前だが身についていない。要するに諸行無常の世界感に存在したおおらかなユーモアを日本人は取り戻すべきだと。

筒井康隆はもともとスラップスティックなSFを書いてきた人だが、それゆえ正当的なSFを標榜する人たちから迫害を受けてきた。その迫害の歴史を笑いとして語るという趣向だ。まあ、この人は何を語っても面白いのだが。

最近は読んだ本で参照された本を次に借りるというパターンが多い。今回、「笑いの力」で筒井康隆が面白いと書いていたバルガス=リョサの「フリオとシナリオライター」を借りようと図書館に寄ったが、それはなかったので「継母礼讃」を借りてきた。久々に南米の不可思議な物語世界を楽しもうと思う。

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