日本人の起源を探る

最近はほとんど写真ブログとなっているのですが、今後は考古学関係のトピックや日常雑感も少しずつ書いていきたいと思います。

今日は僕が会員となっている「全国邪馬台国連絡協議会」が主催した「日本人の起源を探る」という講演会に行ってきました。

前半は気鋭のDNA研究者による日本人のルーツについての最新の研究について。講師の神澤秀明先生はつい先日大英の展覧会で訪れた国立科学博物館の研究員です。ちなみに国立科学博物館の研究員は、上野ではなく筑波で研究しているそうです。DNA解析技術から縄文人や弥生人のゲノム分析結果とその評価について、中には学会発表前の研究成果も含んで非常に中身の濃い内容でした。特に縄文人のDNAが東ユーラシアのほとんどより系統的に古く、現代日本人はその縄文人のDNAを10数パーセント受け継いでいること、そして縄文人が沖縄と北海道を除く日本列島で比較的均一に分布していること、北部九州の弥生人は現代日本人に近く、弥生中期までに現代日本人の遺伝形質が既に形成されていたことなど、目からうろこの研究成果が語られました。 

後半はうって変わって著名な考古学者である小田静夫先生のユーモアたっぷりの講演でした。考古学の基本は土器変遷に代表される形式論なのですが、面白かったのはエジプトの土器が数千年にわたってほとんど変化しなかったのに比べ、日本の土器が縄文時代には80形式に分類されていることで、先生曰く日本人は「とてもせっかちなのではないか。」神津島産で本土から発見される黒曜石の理化学分析から、旧石器時代の人は既に3万年前から神津島の黒曜石を利用していたことが分かり、それまでエーゲ海の海洋民が約8千年前にはじめて海洋公開を行ったという説を大幅に更新した、という話も初耳でした。そこから旧石器人が黒潮を利用して移動していた「海洋航海民」だったという壮大な話が語られ、さらに南九州の先史文化へと話が続きました。ところで先生の話だと、2000年に発覚した旧石器の捏造事件以来、文化庁が旧石器時代の記述をそっくり教科書から削除してしまった。そしてその影響で先生のご専門の旧石器時代の考古学を継ぐものがいなくなった、と嘆かれていました。半分冗談かもしれませんが、あながち笑い話と言えないのが日本の文化行政の実態ではあります。

会場は安本美典先生が主催される「邪馬台国の会」が普段開催される場所ということもあり、超満員でした。

 

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