NO MUSEUM, NO LIFE?

アート

先週行った美術展を記録として書き留めておきます。雨の中ぶらりと訪れた近代美術館の「NO MUSEUM, NO LIFE?」展は、これからの美術館のあり方を展望するたくさんの切り口を用意した展覧会でした。最近はよほどのことがない限り一人の画家の作品を展示する美術展に行くことはまれになりました。だって美術家でも批評家でもない普通の人である僕を、その画業だけで退屈させないような作家なんてまれだから(最近ではマックス・エルンスト展は数少ない例外でした)。

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久しぶりの近代美術館は狙い通り空いてました。たまにすれ違う観客の半分はなぜかフランス人という感じです。ここは収蔵品はほとんどが撮影可です。というか、今どき撮影可を基本としない美術館なんて時代遅れもいいところだと思います。今回の企画展もここを含む5つの国立美術館から集められているので、ほとんどが撮影可となってます。

これらはデュシャンの作品、中央が有名な「泉」ですね。もはや古典と感じられるのは我々の感覚が麻痺しつつあるのでしょうか。

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ここは裸婦像を集めた部屋。なんとなくにぎやかな雰囲気があります。

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理想化のかけらもない安井曾太郎の隣が萬鉄五郎。このおおらかさが好きです。

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ところどころになぜか壁穴がありました。穴の先に見えているのは安井曾太郎の「金蓉」です。

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美術館の課題の提示もこの展覧会の目的のようです。この有名な作品も実は大きく修復されています。左が修復前の記録写真ですが、青いドレスがかなりひび割れているのが分かります。

安井曾太郎 金蓉

安井曾太郎 金蓉

様々な切り口がテキストとして提示されています。無垢な「観者」は存在し得ないというのは、自分を見ればそうだと思います。例えば私という観者はひたすら楽しませてくれる作品を要求し続けます。

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バチバチ写真を撮りまくってる観者は、もちろん僕だけでした。

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様々な切り口を提示してくれることも楽しいですが、なにより5つの国立美術館から作品を集めてるので、普段見れない上質の作品が多く見れます。これはルソー。

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これは鳥取でひたすらモダンな写真を撮っていた植田正治の作品。好きな作家のひとりです。

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マン・レイも好きな作家のひとりですが、クリストよりはるかに早く「梱包」をテーマとした作品を作っていたのは知りませんでした。ちなみに僕はクリストの作品ってあまり興味ないです。大掛かりに梱包するならCGでも良いかと。

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収蔵作品のスペースが黒基調の落ち着いたスタイルにリニューアルされてました。

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おなじみの古賀春江。謎解きの感覚が楽しい。

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フォンタナって最初見た時、すごい作家だと思いました。でも他の作品もカンバスの切り裂き方が違うだけみたい。色はやっぱり赤が良いかな。

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香月泰男の告別。

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今回一番好きだったのが、登山列車が描かれたクレーのこの作品です。ナチの時代の体験が背景となって、緊張感のある不思議な世界が描かれている。

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今をときめく森村泰昌が三島に扮したビデオ作品。

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三島自身が被写体になった細江英公の「薔薇刑」もありました。

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村上隆のタミヤ模型を使った初期の作品もありました。いろいろ批判はありますが、才能は認めざるを得ない。

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写真作品も色々とあります。これはセバスチャン・サルガドの作品。

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企画展と収蔵展すべて見るとお腹いっぱい状態だけど、写真がたくさん撮れたし、覗き穴もあったし、僕にとってはとても楽しい展覧会でした。

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