まほつかいとねこは、せな けいこの絵本。
絵本の世界ではだいたい何かの位相のずれが起こる。悪魔は良心の呵責に苦しむし、魔法使いはといえば、寒さで震える猫を助けてあげる。せな けいこが描くこの猫は、通常の魔力のある黒猫と違って、失敗ばかりで魔女の助けには全くならない。
有名なおばけのシリーズでもそうだが、せな けいこは、魔法的な世界に住んでいる人や動物の極めて日常的な姿を描いている。結局、物事を解決するのは魔法やまじないではなく、人のやさしさや賢さである。
たとえ大人になって疲れてしまったときも、戻ってこれる確かなやさしさ。それが、せな けいこがはり絵で作り出す絵本の世界だ。
コメント