日本復興計画

読書

僕も震災が起こってすぐ原発のウオッチを始めた。僕は自分なりに情報収集し考えたつもりだったが、大前研一氏のビデオや提言を見て、さすがにちょっとレベルが違うと感じた。

この本は大前研一氏が震災の収まらない内からその後の情報をまとめ、今後の日本の方向性について提言したものだ。僕に取っては、特に震災以降、大前研一氏の発信する情報を欠かさずウオッチしていたため、特に新しいと感じるところは少い。だが、改めて大前氏の発信した情報を辿ってみると、氏が早い時から原発の状況を的確に把握し、適切な提案を続けていたことが分かる。一部の提言、例えば石棺を採用してはならないという提言は、政府の方針にも採用された。

最後の部分は原発というより、日本の抱える構造的な問題についての提言となっている。大前氏の著作やコラムをフォローしている僕には別に驚くことはないが、おそらく大部分の日本人はえっ、と思うのではないだろうか。それは、日本は震災以前に既に、先進国の中で唯一と言って良い完全な負け組であり、他が確実に成長している中で日々貧乏になっているという認識だ。

原発の問題で明らかになったことは、端的に言えば日本人がうまくいっていると信じていたことは、実は幻想に過ぎなかったということである。経済も実は全く同じである。そしてその現実に向きあうことを拒否しているのが、現在の日本人の在り方である。

今の政治家特に、菅直人首相の迷走ぶりを見て僕が苦い思いになるのは、彼個人の資質の問題ではない。そうではなくて、彼が我々日本人のレベルにまことにふさわしい首相である、という冷厳な事実をかみしめざるを得ないからだ。

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