微量放射線の疑問

池田信夫氏のブログ記事は、微量放射線の人体への影響の問題について、勇敢な問題提議を行っている。実はこの記事はずっと僕が疑問に思ってきたことに、ほぼ正確に答えている。現在の全ての放射線に関する基準は、「放射線の影響はそれが微量であっても、線形に(加算的に)人体に蓄積される」という理論に基づいている。ところが、実はこれを例証する疫学的な調査結果は存在しない。そうした方が安全サイドの勧告となるから、便宜的にそのような仮説を採用しているに過ぎない。

安全サイドの基準なら問題ないじゃないか、という人もいるだろう。だが、もし本当に微量の放射線が無害であるのなら、過剰な基準で住み慣れた故郷から避難を強いられ、過酷な環境に置かれ、放射線を浴びたと差別される人たちの人権はどうなるのだろう。

現在は放射線といえば何でも危ない、と言っておくのが「正しい政治的態度」であることは間違いない。だが 広域の避難が行われる非常の事態では、全ては健康と生命に関わる決断である。安全を盾にすれば許されるような単純な話ではない。

僕も、池田信夫氏の警告を全て信じているわけではない。この問題には放射性物質の化学的毒性に関する論点もあると思う。しかし氏の議論には、僕を含めて多くの人が疑問を感じる論点が存在することは間違いない。僕の知る限り、WTOは2005年に、チェルノブイリの影響を総括して、原発事故の最も悲惨な影響は被爆ではなく避難に伴う肉体的、精神的な影響であったと断じている。

池田氏が間違っているのなら、専門家は根拠を示して彼に反論する必要がある。もし池田氏の警告が正しいなら、20年後日本は別の意味でチェルノブイリを繰り返したと言われることになるだろう。

ちなみに池田氏の推薦の本を図書館に予約した。後日感想を報告したい。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です