1Q84

読書

遅ればせながら村上春樹の1Q84 BOOK1を読んだ。もうBOOK3が出ているので、2週間ほど待てば図書館で借りることができる。ノンフィクションには賞味期限があることも多いのだが、小説は急いで借りることはない。世の中に面白い小説はいくらでもあるし、賞味期限のあるような小説は、そもそも僕にとって価値がないからだ。

久しぶりの村上春樹だったが、とても楽しめたというのが第一の感想。かなりくせのある人物ばかり出てくるのだが、さすがに村上春樹、交通整理がうまい。へたな作家がやると動物園みたいになるような人物達それぞれにリアルな生活感を与えている。以前より象徴的な描写は少なくなったが、娯楽性は格段に増した。

特に物語の核となるディスレクシアを持つ少女の紡ぎ出す言葉が面白い。最近メディアも政界も言語空間があまりに希薄で説得力がないためだろうか、この少女の簡潔な語法が新鮮だ。

この小説はパラレルワールドのような多重現実がひとつのテーマとなっている。でもそれが彼の主題だとも思えない。村上春樹は色々な要素を混ぜあわせ、読者を象徴の森でうろつかせた先に、また何か別のものを用意しているのだろう。

最近図書館の予約システムが新しくなって、本の予約の順番が出るようになった。先ほどPCから予約したBOOK2は板橋区で56人番目だった。村上春樹の場合は本の総数が多いので、多分また2週間くらいで借りられると思う。1Q84は娯楽作品として既に一級品だが、それ以上のものがあることを期待したい。

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