片腕

アート

正月休みはandroidアプリを作ったり、家を掃除したりと、せっかくの休みなのに読書があまり進んでいない。しかし、スマートフォンで青空文庫が読みやすくなったので、ちょっと空いた時間に日本の近代文学、例えば坂口安吾なんかを読んだりしている。

思い立って川端康成を、青空文庫で探してみたがない。イメージ的に青空文庫で読めそうな気がしていたのだが、よく考えたら川端康成はそれほど古い作家ではないのだ。そこで図書館から借りたのは、新学社の近代浪漫派文庫の川端康成の短篇集。読みたかったのは、幻想小説としての評価を何度か目にしていた「片腕」である。

確かに「伊豆の踊子」のような繊細な日本の美の世界ではない。老年の性への執着を扱った「眠れる美女」にも垣間見えた偏執的な意識が、更に肥大した感覚だ。でも繊細なエロスよりというも僕が感じたのは、強い絵画的なイメージだ。

どこかで見た感覚だと思ったが、最後にそれは僕が岡本太郎の初期の傑作「痛ましき腕」から受けた印象だと気がついた。川端康成が岡本太郎からインスピレーションを得たということもないかもしれないが、僕は今では川端康成を絵画的なイメージの作家だと感じている。

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