ハイパーカードとandroid

正月休みを利用して、androidスマートフォンの練習用アプリを4つ作ってみた。GoogleのAppInventorというソフトを使うのだが、確かに簡単な操作でアプリが作れてしまう。

画面の左下の方に見えるPicCallというアプリはそのひとつ。特定の人専用の電話ソフトだ。僕などは実家の母親に毎日電話する以外はほとんど電話を使わないので、このアプリは十分実用になる。画面から電話帳を呼び出すこともできるので、電話関係はこれだけでほとんど済んでしまう。

AppInventorはプログラミングをせずに、ブロックの組み合わせのような操作でアプリが作れるのだが、これでアプリ作りを練習していると、なつかしい記憶が蘇ってきた。1980年代後半にappleがmacintoshに無料でバンドルしていた、ハイパーカードというソフトの感覚と近いのだ。

ハイパーカードとは、誰でも簡単にそして自由にカード形式のデータベースを作ることができるソフトだった。それは単なるデータベースの範疇に留まらず、マルチメディア的な要素と動きのある「作品」を作ることができた。ハイパーカードの登場で、専門家でなく、ユーザがアプリを作る時代がついにきたと感じた。僕は今でも、appleが生み出した最高傑作は、macintoshでもiphoneでもなく、ハイパーカードだったと思っている。

ところが、appleに復帰したスティーブ・ジョブズは、ハイパーカードに冷たかった。彼の復帰後ハイパーカードは無料バンドルから外され、プロジェクトはほとんど解散状態に追い込まれた。スティーブ・ジョブズというプロダクトの天才と、誰でもプロダクトが作れるというコンセプトは、その時点では相容れなかったのかもしれない。だが、その後ジョブズはまたしても時代の先を読み、iphoneのアプリのマーケットという、アプリの作者が自由にマーケットに作品を発表できる環境を作り上げるのである。

だが、僕にとって決定的に重要なのは「誰でも自由に」というコンセプトだ。

Googleのandoridがappleのiphoneを猛追しているが、ジョブズのiphoneの完成度を超えることは正直難しいだろう。だが、もしGoogleがandroidにハイパーカードの要素を取り入れたら、勝負は分からないと思う。

このブログで何度も書いてきたように、アマとプロに境がなくなってきているのが現代である。そしてその傾向は今後、ますます加速するだろう。「ユーザの自由」という時代の要請にいち早く答えたものが、次代の勝者となる。僕はそう確信しているのである。

4件のコメント

  1. artjapan様

    明けましておめでとうございます。
    藤井游惟です。
    その後、上代特殊仮名遣いに関する理解は進みましたでしょうか?

    さて、今月の末に、前回と同じ場所で以下の様な講演を行います。

    考古学を科学する会 第44回例会

    演題:弥生人と日本語の形成–日本語南方系縄文人語起源説–
    講師:藤井游惟
    日時:1月25日(火)午後6時半~
    会場:大井町「きゅりあん」(品川区立総合区民会館)第1グループ室
      JR京浜東北線大井町駅下車 徒歩1分
    参加費:1000円

    これは、拙著のP.30、及びP.312~314で少し予告してあることを敷衍する内容です。
    興味がお有りでしたら、是非お越しください。

  2. 藤井様

     正月早々、ご連絡ありがとうございます。

    上代特殊仮名遣いに関する私の理解は、正直生半可だと思います。

    その中でまた新しい展開で果たして頭がついていけるか不安ですが、
    もちろん今回も好奇心のほうが勝っております。

    25日はぜひ参加させていただきます。
    よろしくお願い致します。

  3. ハイパーカードに関して、私もまったく同じ意見です。
    MACでOSの優位性ばかり強調されていたりしても、ユーザーがどう使えるかこそが大事なのではと思っていました。
    そしてユーザーが求めるものはユーザー毎に違います。
    ユーザー自身が自分の求めるPC環境を実現できる楽しさが、ハイパーカードにはありました。しかも手軽に。
    ジョブズはその有用性は認めていたと思うのですが、自身のテーマがUI改革であり、一種の型にはめる秩序づくりであったので、相容れないものがあったのではないでしょうか?

  4. 坪田様

    コメントありがとうございました。4年前の文章ですが、ハイパーカードに関する私の思いはそのままです。Androidがハイパーカードの要素を取り入れたら、という希望的観測はさすがに実現はしていないですが、自由という観点では、アプリにおいてややAndroidが勝っているかもしれません。世界的シェアでは既にandroidが勝っていますが、ご指摘の秩序がもたらすiphoneの美しさにおける優位もまた揺らぐことがなさそうです。いずれにしろかつてハイパーカードに垣間見えたユーザーの自由を、現在はまだ両陣営共提供できていないのは残念です。

    artjapan

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