美女と機械

読書

原克の「美女と機械」 河出書房新社

健康と美の大衆文化史と副題されたこの本、健康マシンの博物館という感覚で楽しく読んだ。まず語られるのが1900年代初頭から始まった健康志向が、優生学的な差別思想を背景に誕生したことである。そして本来は全く別の概念である「健康」と「美」が接木され、次第に「健康美」なる言説が流布されていく過程が、豊富な写真とともに解説される。

この表紙にもあるような健康器具がたくさん登場するのが、カタログを観るようで楽しい。TVの買い物チャンネルなんかでは健康器具はいまでも人気があるようだが、その宣伝に用いられる言説も健康機械の物理構造も、1930年代には既に完成されていたのである。

しかしながら宣伝に登場する「理想の体型」は、時代と共に変化していく。時代を経ると共にモデルがだんだん痩せた体型に変化していくのだ。1910年頃には、ふっくらとした「健康美」の持ち主が痩せた女の子を「痩せっぽち」と嘲るような宣伝まであったのだから、今昔の感に堪えない。

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