事業仕分け開始

事業仕分けが始まった。無駄を省くことは必要だし、公開されることは良いことだ。仕分け人への指針には、無駄排除だけでなく、行政改革を合わせて行うとある。ここまでは大変よろしい。

問題は、民主党の目指す国のあり方である。例えば官僚依存からの脱却は、単なる手段であって目的ではない。極端なことを言えば、わが国の抱える問題をことごとく官僚が解決してくれるなら(もちろんそんなことは起こらないが)、別に官僚まかせでもかまわないのだ。

僕が民主党に多くを期待していないのは、この党が基本的に大きな政府を指向していることにある。それは亀井静香大臣における全てを小泉改革のせいと問題を歪曲化する政治手法やモラトリアムに代表される国有化&ばらまき政策に端的に現れている。もちろん中小企業への貸し出しモラトリアムはあまりにばかげた施策だったので、実質的に銀行への拘束力のない名前だけの政策となった。ばらまきで生き返る官僚はこぞって亀井大臣が最初から落としどころを決めていたと持ち上げたのだが、もちろん亀井大臣は本気であった。

要するに日航にしろ郵政にしろ高速道路無料化にしろ、民主党が今行っていることはせっかく民営化した事業の再国有化である。少なくとも小泉政権は「民間に出来ることは民間に」という理念があった。そのような最低限の理念さえない以上、仕分けは重箱の隅をつつくレベルで終わらざるをえないだろう。

でも政治のプロセスが可視化されることは良いことだし、長い眼で見ればそれで変わる部分もあるだろうと思う。それまでに日本の財政が持てばの話だが。大前研一などは、国家財政がデフォルトとなったアルゼンチンの影が散らつくと言っているが、僕は経済の専門家ではないので可能性を論じることはできない。それでも危機が忍び寄っていることは確実だと思う。

そういえばまた巻向遺跡の発掘がらみで「邪馬台国は大和で決まり」報道がまた出ている。もうばからしくて反論する気にもならないのだが、大和派の代表的な学者と見なされている石野博信兵庫県立考古博物館長が今回コメントしてる内容はこうだ。

「畿内説に立てば、卑弥呼の宮殿とみていいだろう。」

『畿内説に立てば』という保険をちゃんと掛けているところが笑える。僕は石野氏を安本美典氏との討論会で見たときから、彼が邪馬台国が大和に存在したことなどありえないことが重々分っているのだが、立場上認められないでいる、と推察しているのである。

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