北斎妖怪百景

アート

図書館

今日は久しぶりに何もない休日だったので、新しい通称赤レンガ図書館で時間を過ごしました。

時間がたっぷりあるときは、普段借りることが出来ない大きな画集とかを眺めるのが好きです。最初に手に取ったのが、「北斎妖怪百景」。巻頭に京極夏彦の北斎論が書かれているのですが、北斎の通俗性をこそ評価すべきだと言っているのは、さすがです。通俗的なメディアそのものだった浮世絵や黄表紙のたぐいも、現代においてアートに祭り上げられた途端、作者の意図とか芸術的独創性とかが、評価、考察の対象となっていきます。

でも京極は北斎の「通俗たらんための在り方」、「娯楽たりうるために磨かれたテクニック」こそが評価されるべきなのだと言います。実際、北斎の独創性はしばしば指摘されるような「デフォルメ」というような意図ではなく、もっと当時の読者をひきつけるための実用であったはずです。

このような通俗性とアートの関係について、最も勘違いをしている人の一人が、わが国の首相です。この人はどうやら、秋葉原やオタクの作り出す作品を国がバックアップすべきだというとんでもない考えを持っているようです。確実なのは、国が介入した途端、秋葉原の活力は消えるということです。皮肉なことに「未曾有」の経済危機により、首相にとって秋葉原どころでなくなったため、オタクの文化はかろうじて生き延びることができそうです。

紅茶

この図書館にはレストランも併設されています。ダリダについての小論を読みながら、のんびりお茶を飲みました。お金はほとんど使わないのですが、豊かな時間でした。

コメント

  1. SK より:

    ご無沙汰しています。
    新装オープンの赤レンガ図書館は、某ICタグを利用したことで
    業界ではすっかり有名になっています。
    正月休みは、いかが過ごされますか。小生は年賀状を作成し、
    飲みに行き、年明けに実家へと、いうことになりそうです。
    それでは、よいお年を。

  2. artjapan より:

    SKさん

    本についているはずのICタグなのですが、未だにどこに付いているのか分らないのです。どうみても普通のバーコードしか付いてないように見えるのですが、この薄いバーコードのシートにICが入っているということなのでしょうか。いずれにしろ技術の進化はすごいものだと思います。

    僕はもう年賀状を書き終えました。正月は近場でのんびりしていると思います。

    それでは良いお年を。

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