熱帯幻想

今日は予定だと、ある登山グループに混ぜてもらって茅ヶ岳に登っていたはずなのですが、天気には勝てずに中止となりました。ひまになったので、図書館で本をいくつか借り、そのうちの一冊である「熱帯幻想」を、読むというより、眺めていました。

「熱帯幻想」は荒俣宏が、世界の興味深い図像を12冊に監修した、「Fantastic Dozen」の第7巻目にあたります。

この第7巻では、18、19世紀の世界航海の記録として紹介された図版を集めています。タヒチ、ハワイ、グアム、ニューギニア、オーストラリア。これらの地で、クックやブーガンヴィル、そして彼らの冒険に触発された航海者達が紹介した図版が、欧米人に熱帯の楽園へのあこがれとユートピア幻想をもたらしたのです。

図版のほとんどは美しい細密な銅版画で、一部は彩色されています。初期のものは特に現地人が生きた彫刻のように優美に描かれており、欧米人のある時期の幻想の対象であった日本人にとっても、エキゾチズムを感じさせずにはいられません。

この本を見て、(一度も故郷を離れたことのない)ルソーの描く密林や、ポール・デルヴォーの絵画に登場する裸体の女性のルーツが世界航海がもたらした図版にあったのだと分りました。熱帯の幻想は今も我々の意識の奥に深く刻み込まれているようですね。

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