子供のための文化史

読書

この本はベンヤミンが当時の最先端のテクノロジーであったラジオを通じて、子供に語りかけた原稿を集めたものだ。もちろんベンヤミンは子供たちにラジオで文字通りの「文化史」を語るなどという、つまらないことはしない。内容は教育的なテキストというより、子供が興味をもって聴けるような楽しい逸話や物語が多い。中にはテクノロジーの話もあるし、物語の間違いを探すというような趣向もある。

彼が語ったものは、例えば魔女裁判の歴史であったり、ジプシーの驚くべき生活だったり、バスティーユ監獄の意外な内実であったり、1800年代後半に欧州の寵児であった詐欺師のカリオストロであったり、子どもが夢中になって聴いたことが想像されることが分かる興味深いエピソードばかりだ。

だが、それらの一見互いに関連のなさそうなエピソードは、ベンヤミンの語りを通すと、ヨーロッパにおける基層的な考え、宗教観、不安といったものを見事に浮かび上がらせる。ベンヤミンの巧みな構成と語りは、なんか僕も当時のドイツの子供になったような気持ちにさせ、ヨーロッパについての考えを改めさせてくれる。「文化史」というのは翻訳側がつけた勝手な題名なのだが、読んだ後では、なるほどね、と思ってしまった。

人は旅行をする前には通常、写真満載の旅行ガイドで予備知識を得る。だが、本当にその土地を楽しみたいなら、その地に刻まれた古いエピソード、古い物語を知るべきだ。奈良を旅するなら「古寺巡礼」を、ベルリンやナポリを旅するなら「子供のための文化史」を読むべきなのだ。

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