文学のレッスン

これは2010年の刊行で、丸谷才一としては比較的新しいコラム集だ。丸谷は、対談の形式で短編、長編、歴史、エッセイ、戯曲、詩、その他もろもろ、諸ジャンルの文学を縦横無尽に論じる。もちろん僕は彼が論じる作品の多くは読んだことがないのだが、彼が論じると読んだことのない本の本質が分かる気がしてくるから不思議だ。

丸谷才一ほどの大御所になると、本人の意図に関わらず作品に権威がまとわりついてくるのは避けられない。でも丸谷才一が凄いのは、彼がいつでも何か新しい試みに挑戦しており、それが常に成功していることだ。

モダニズムの作家としてスタートした丸谷才一は、自由な精神による評論というものを精緻にかつ大胆に極めた。この本は読書案内としても素晴らしいし、ペダンチックな知識も期待通り詰め込まれている。だが、僕が一番楽しんだことは、この本に充満する自由な気分なのかもしれない。

2件のコメント

  1. この本は、新潮社の季刊誌『考える人』2007年春号から2009年秋号までに8回掲載された湯川豊によるインタヴューを収録したものです。「対談の形式」による「コラム集」ではありません。表紙に「聞き手・湯川豊」と明示されているし、雑誌初出も本書に記載されていたと思いますが、artjapan様は読まれなかったのでしょうか?
    http://www.shinchosha.co.jp/book/320608/
    http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/320608.html

  2. コメントありがとうございます。
    確かにコラム集ではありませんね。そもそも、コラムと対談って違いますよね(汗)
    ただ、丸谷氏も最初に述べていますが、この作品は丸谷氏に勝るとも劣らないような湯川豊氏の豊かな学識によるところが大きいとおもいます。湯川氏とは何者か全く知らないのですが(若い方のようですが)、ふたりの会話はインタビューというレベルをはるかに超えています。時には湯川氏は丸谷氏に反論さえしています。だから僕は敢えて対談と記しました。
    分類学的には全く正確ではないですが、この本は丸谷氏のモノローグと湯川豊氏との対談の組み合わせだと感じたので、そう書いたということです。丸谷氏の文章も歴史的文脈を抑えつつも、何かの範疇に収まらない自由なところが好きです。

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