文学のレッスン

これは2010年の刊行で、丸谷才一としては比較的新しいコラム集だ。丸谷は、対談の形式で短編、長編、歴史、エッセイ、戯曲、詩、その他もろもろ、諸ジャンルの文学を縦横無尽に論じる。もちろん僕は彼が論じる作品の多くは読んだことがないのだが、彼が論じると読んだことのない本の本質が分かる気がしてくるから不思議だ。

丸谷才一ほどの大御所になると、本人の意図に関わらず作品に権威がまとわりついてくるのは避けられない。でも丸谷才一が凄いのは、彼がいつでも何か新しい試みに挑戦しており、それが常に成功していることだ。

モダニズムの作家としてスタートした丸谷才一は、自由な精神による評論というものを精緻にかつ大胆に極めた。この本は読書案内としても素晴らしいし、ペダンチックな知識も期待通り詰め込まれている。だが、僕が一番楽しんだことは、この本に充満する自由な気分なのかもしれない。

読書

Posted by artjapan