言語と認知

読書

言語学に革命的な知見を与えたチョムスキーはずっと読んでみたかった。この本はチョムスキーが1987年に日本で行った3回の連続講演を記録したもの。チョムスキーが明らかにしたのは、人の言語能力の基本的な部分は、人体の器官が外部環境と関係なく機能的に発達するのと同じように、生得的な資源としてあらかじめ用意されたものであるということだ。もちろん言語には生得的な部分と同時に可塑的な部分があり、例えばそれは異なった言語を生み出す。

この本を読むと、彼が日本での講演のため周到に準備したことがよくわかる。例えば言語間の差異を議論する時には、必ず英語と日本語を例にとっており、時には日本語の具体例を持ち出している。チョムスキーが日本語を話せたかどうかは定かではないが、日本語の文法を深く理解していたことは間違いない。

大雑把に言えば、チョムスキーは脳を情報処理のシステムと見なしたと言える。僕は通信関係の仕事をしているので、一応ネットワークや情報処理には深い関わりがある。関連が深くて見えにくいが、チョムスキーは間違いなく僕らの仕事のルーツのひとつなのだ。

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