デザイン快想録

アート

福田繁雄の「デザイン快想録」 誠文堂新光社

視覚のトリックを使った独創的なデザインで世界的な名声を得ていた福田繁雄が亡くなったのは、去年の初めだったと思う。福田のデザインはシンプルでユーモアがあり、常にクールだった。

この本は福田繁雄のデザインが生まれる様子を自身で語ったものだ。福田は世界中のポスターやグラフィックデザインのコンクールで数多くの賞を受けたのだが、その制作の様子とかコンクールにおける他のデザイナーとの交流などが語られており、興味深い。

彼は作品を作るのに、できるだけスケッチをしなかったらしい。イメージを形にするのは最後、それまでは彼の右脳と左脳が戦っていたのだ。実際、この本のいくつかのコラムは彼の右脳と左脳の会話という形で記述されている。

東京には、グラフィックデザイン専攻で卒業する人が毎年2万人いるそうだ。世界中のどこにもそんな都市はない。福田繁雄のはっとするデザインは、そんな不思議な都市にこそふさわしい。

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