The ARRIVAL

2月 9

Shaun Tanの「The ARRIVAL」 Arthur a Levine社

ネットの評判により女房が買って、本当に面白かったからぜひ、と見せてくれたのがこの本。まぎれもない傑作だった。

移民をテーマにした幻想と冒険の絵物語なのだが、言葉は一切なく、ひたすら小さく書かれたセピア色のイラストが物語を展開させ、ところどころに大きな俯瞰の絵が入る。そして、主人公のいく先々で現れる不思議な生き物と建物が奇妙な調和を見せる。

これはいわゆる絵本という範疇には入らない新しい物語の形式だと思う。物語としての表現が繊細なので、ちょっと子供には全体の物語を理解することが難しいだろう。だが、いくつも現れる不可思議な生き物が子供を飽きさせることはないはずだ。古びた感触の装丁もすばらしい。

様々な印象的な絵が現れるのだが、作者は注意深く、そして時に大胆にシンボルを組み合わせる。古びた記憶とSF的なオブジェが融合する。物語の最初と終わりに登場し、物語のひとつのシンボルとなっているのが、古い革の旅行かばんである。手で持つカバンだからこそ物語が力強く進む。それは主人公と強い結びつきがあるからだ。たぶん、ガラガラと引くローラー付きのバッグではこの物語は、はじまりも終わりもしないだろう。

数多くの幻想が詰め込まれたこの物語は、手にとってじっくり楽しむべきだ。決して電子ブックで読んではいけない。

アート,絵本

Posted by artjapan