なぜ日本人は学ばなくなったのか

読書

齋藤学の「なぜ日本人は学ばなくなったのか」 講談社現代新書

僕が最近最もよく読んでいるのが講談社現代新書だ。この新書は装丁の基本デザインが2度変わっているが、現在のデザインが最もシンプルで気に入っている。

日本に教養主義が失われて久しい。僕も日本人に知への欲求が失われてしまった現状を憂うものである。この本はゆとり教育を糾弾し、教養主義の復権を謳う点では「国家の品格」の藤原正彦に近いが、エリートの復権を主張した藤原正彦ほど、先鋭的ではない。

処方せんに期待したが、日本の書生文化の再生みたいなことを言っているのがちょっと頼りない。「新しい教養」として他の思想を解体していったというマルクス主義批判を展開する割には、社会主義的な経済政策を擁護する。このあたりは思想的整合性に乏しく、付け焼刃的な感じが否めない。

僕は教養主義の復権ということには賛成だし、日本人が精神的な隘路にあることも全くそうだと思う。しかし、この本で教養主義の復権への手がかりが得られたかといえば、そんなことはなかったと言わざるをえない。

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