たくきよしみつの「デジカメに1000万画素はいらない」 講談社現代新書
なぜかリコーのCX3を買ってしまった後で読んだのがこの本。内容的にとても共感できる本だった。著者のメインの主張が「デジカメに1000万画素はいらない」ということなのだが、僕の経験からしても納得出来る。
僕はエントリーレベルの一眼をなぜか3台持っているのだが、その中で最も古く画素数が600万画素と少ないNikon D70で撮った写真の写りが一番良いのだ。特に階調については、他の1000万画素のCANONとOlympusの一眼より明らかに優れている。
600万画素でもA4くらいまでは十分印刷に耐える。解像度は写真の一部の要素でしかないのに、画素数競争という営業施策で写真の階調が損なわれているのはバカげたことだ。
例えばPanasonicは一時カメラの使いやさを追求するという方向性でCANON、Nikonの間に割って入りユーザを拡大したが、最近はコンパクトカメラでも1,400万画素を売りにしている。残念なことに他のメーカーも追随しているが、これはとても危険なことだ。携帯電話で日本のメーカーは性能は劣るがユーザー・インタフェースに優れるiphoneの後塵を拝した。カメラの世界でもくだらない画素戦争をやっている間に、サムスンあたりに市場をひっくり返される可能性があるのではないか。
一眼はともかく、コンパクトカメラは部品のOEM化が進んでおり、この先日本勢がシェアを維持し続けられる保証はない。リコーはその点、コンパクトカメラでは主力機で1000万画素に設定しているし、コンパクトカメラに驚異的なマクロ性能を付与するという特徴ある戦略を取っている。僕はリコーにはコンパクトカメラ業界のAppleになって欲しいと思う。そうでなければ、サムスンがその位置を狙うだろう。
などというようなことを考えていたら(僕がCX3を買って一週間もたたないのに)リコーがCX4を出すというニュースが入ってきた。
なんてこった。
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