ハヤブサの帰還

このブログでも何度か取り上げた小惑星探査船ハヤブサが、ついに本日23時過ぎに地球の大気圏に再突入する。7年の苦難の旅の果てについに帰ってくるのだ。

この素晴らしい挑戦と壮大な物語を何に喩えよう。

これが西洋の探査船なら間違いなく、ギリシャのホメーロスの叙事詩に謳われたオデュッセウスの物語に喩えられるだろう。トロイ戦争の後、10年間にわたりエーゲ海を放浪し、度重なる悲運を乗り越え10年後に故郷に帰り着く英雄の神話だ。

しかし、これは日本の探査船の話。やはりヤマトタケルの物語がそれにふさわしいのではないか。ヤマトタケルは父の景行天皇の命により西国を討伐した後、休む間もなく東国征伐に赴き、草薙の剣を片手に各地を転戦する。そして幾多の苦難の果てに伊勢で命を落とし、白鳥となって故郷の京を目指す。これが後に多くの文学のモティーフとなった白鳥伝説である。だから個人的にはハヤブサよりハクチョウと命名して欲しかった。

それはともかくイトカワの探査船本体は、大気圏の熱で燃え尽きる。地表に到達するのは小惑星イトカワのサンプルが入っていると期待されるカプセルだけである。世界中の科学者が期待するカプセルは果たして無事だろうか?

カプセルにたとえ何もはいっていなくても、イトカワの探査とイオンエンジンによる7年にわたる宇宙航行は世界に誇るべき素晴らしい科学的達成であり、すばらしい成果である。なにより近年の日本人が失ってしまったかに見える何かがそこにある。

だから管新首相には、就任演説ではやぶさの挑戦に言及して欲しかったと思う。空虚な言葉の羅列では決して表すことのできない「挑戦」の、すばらしいお手本が宇宙から帰ってくるのだから。

技術,政治

Posted by artjapan