谷内六郎幻想記

アート

雑誌の「illustration」誌を、毎月図書館で借りて読んでいる。いつも読めるのは月遅れなのだが、先日読んだ号に、横尾忠則が編集した谷内六郎の画集「谷内六郎幻想記」のことが出ていた。谷内六郎は御存知の通り、かつて週刊新潮の表紙をノスタルジックな絵で飾ったイラストレーターだ。

横尾忠則と谷内六郎というお気に入りの二人の名前が出てくれば、これはもう僕としては借りるしかないので、早速図書館で取り寄せた。

絵にまつわる谷内六郎の文章が添えられているのだが、中でも昔のモノクロームの作品が素晴らしい。幻想的でしかも怖い。

横尾忠則のあとがきに、この本を谷内六郎と作っていて、ポツンと取り残されてしまったということが書かれていた。経緯はこうだ。

横尾は谷内六郎の大ファンで、少年時代の絵に感動してそれを含めた画集を編集することになった。ところがその少年時代の絵は子どもが見ることのできるコワイ絵なので、谷内六郎は最後に横尾に画集に含めないように頼んだ。そして谷内六郎の死去後、彼の意思に反するが奥さんと相談してそのコワイ絵を含めることにした。

谷内六郎の初期の作品は後世に残すべき傑作だ。横尾は悩んだだろうが、正しい決断をしてくれたと思う。

ちなみに横須賀美術館には谷内六郎の独立した展示室がある。もし三浦半島方面に行くことがあれば、ぜひ寄ってみて欲しい。収蔵品はもちろん、美術館もそこからの眺めもすばらしいことを言い添えておきたい。

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