解説屋稼業

鹿島茂の「解説屋稼業」晶文社

本読みのプロ、書評のプロ、鹿島茂の解説集です。鹿島茂が無条件で賞賛するのが、漫画のショージ君なのですが、今回はカバーも東海林さだおによるショージ君のイラストです。ショージ君が二宮金次郎ばりに本の束を背中にしょって、読書しながら歩いている姿がおかしい。

それにしても鹿島の解説は切れ味鋭く、軽快です。鹿島茂が、西洋思想史の方法論、フランスの作家達のテクニックを研究し尽くした存在であることが、文章の切れ目、切れ目から漂ってきます。

鹿島はこの本で、三島由紀夫、山田風太郎、川本三郎など、そうそうたる文章家の文章技術、戦略を、まるで本人達から伝授されたかのように解説していきます。丸谷才一を語る一節など、レトリックの真剣白刃取り、とでもいうような奥義に達しています。そして必ず最後にそれまでの議論を総括しながらも、更なる展望を示すような言葉で締めくくる。

名人芸ですね。その名人が畏怖するショージ君も読んで見たいですけど、図書館に果たしてあるかな?

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