芝居にみる江戸のくらし

この本は吉田弥生が江戸の暮らしぶりを、芝居を通して考察するという本です。でも芝居の情景を文字のみで表現することは難しいですから、芝居を多く描いた浮世絵を参照するという手法を取っています。で、浮世絵の写真がたくさん出てくるのですが、それらの写真が小さく、白黒であまり良く見えない。そこが最初にがっかりさせられるところです。

構成的には衣食住の3つの観点から、江戸の民衆の暮らしぶりを解説しており、歌舞伎の有名な場面の見所や、当時のスーパースターであった歌舞伎役者のエピソードなどが盛り込まれており、そこは結構楽しく読めました。

でも、校正がなってない。例えば、江戸の男のおしゃれを「夏祭浪花鑑」という歌舞伎の浮世絵で解説しているのですが、肝心の写真は「花菖蒲男鑑」の画像が組み込まれている。

多分、両方の歌舞伎を解説に盛り込もうとして、編集の最後に「夏祭浪花鑑」のみに変更されたのだと思いますが、それにしても校正担当は何をやっているのだろう。作者も最後に注意深く見るということをしないのだろうか?

趣向は良く、結構面白い中身なのですが、参照される画像にがっかりさせられた本でした。

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