都市は<博物館>

高橋哲夫の「都市は<博物館>」(岩波書店)

都市を博物館に見立てる。ふむ、面白い。でも、すると学芸員は誰なのか?

この本は都市の博物的な探検というより、都市に魅せられ、あるいは都市に絡み取られ、都市を博物館たらしめるような活動に身を費やすこととなった作家や芸術家達の物語です。

ジョン・ラスキンのヴェネツイア、ジェイムズ・ジョイスのダブリンそしてフランケンシュタインを生み出したメアリとシェリーのジュネーヴ。その他、グラナダ、バルセロナ、ドレスデンにマンチェスターと、都市の中の都市、迷宮のような物語が語られます。それぞれに特異な物語を有する都市ばかりだけど、もし共通するものがあるとすれば、廃墟、それも歴史と地理空間の中に見事に演出された廃墟のイメージでしょうか。この英国的な廃墟の仕掛けって、日本人が京都や奈良に求める古さの感覚とも共通するものがありますね。英国人の方がはるかに、演出が巧みだという差はありますが。

おかげで、久しぶりに遠くへの国に行きたくなりました。

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