誰も「戦後」を覚えていない

鴨下信一の『誰も「戦後」を覚えていない[戦後30年代編]』(文春新書)

「なぜ昭和30年代はこんなに懐かしいのだろう。」という問いかけから始まるのがこの本です。

昭和30年代の映画、TVドラマ、自動車、安保、五輪、野球、歌謡曲・・・、著者の鴨下信一の回想が次々に、とりとめもなく溢れ出て、黒澤、小林明、草加次郎・・・、沢山の人の名前が記されています。

でもあまりに駆け足で全てを網羅しようとするためか、鴨下が言うほどの懐かしさは感じない。それは著者の筆の力がないということではなくて、新書1冊で昭和30年代を全て語るのは、やはり無理があるということだと思います。結局、3時間ほどで読み終えましたが、カタログ雑誌を読んだような物足りなさが残りました。

『誰も本の「中身」を覚えてない』、と言っては鴨下信一に失礼でしょうが。

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