たまにはミステリーなど

最近小説をほとんど読まなくなって久しいです。

もっと若い頃は冒険物とかSFそれにミステリーを結構読んでたのですが、ある時から興味はノンフィクションの方に移行し、フィクションはたまに読む程度になりました。

そのきっかけになったのが、フランク・ハーバートによる「Dune/砂の惑星」というSF小説でした。この小説は歴代のSFのベストテンにもはいる名作で、ある虚構の惑星の歴史が壮大に語られる大河小説なのですが、特に細部に亘る描写がすばらしいのです。でもその小説を読んでいた頃にちょうど江戸の歴史とか古代史を読み始めていて、どんなに作家的想像力を駆使しても、実際の過去の文明の豊かさには到底及ばないということを感じてしまったのです。

もちろんフィクションとノンフィクションを比較することに意味はなく、単にその時から僕個人の最大の関心は、過去の文明の有様を探求することになったというだけのことです。

それ以来、僕は純粋に楽しみのためにノンフィクションを読んでいるのですが、過去にあった事実を掘り起こすことがベースになる訳ですから、どうしても情報を蓄積しよう、あるいは僕の頭の引き出しの中で整理しようとする力学が働いてしまいます。その結果、どうなるかというと、時々頭が情報過多状態になってしまうのです。そんな時にまたフィクションを読んで、頭をリフレッシュする訳です。

というわけで、先週はミステリーを2冊読みました。ひとつは法月輪太郎の「頼子のために」、もうひとつはクリスチアナ・ブランドの「招かれざる客たちのビュッフェ」です。後者は短編集です。最後にディック・フランシスを読んでからは、ミステリーから遠ざかっていたので、ミステリーのランキング本から適当に選びましたが、いずれも確かに良く出来た本でした。でも本格ミステリーって言われる小説は、やっぱり殺人事件にからむ複雑なプロットが真骨頂ですから、このふたつの小説でもそうでしたが、読後感があまり爽やかでないものが多いですね。

僕が好きなのは、やっぱり安易といわれようが、マンネリといわれようが、本格派でないといわれようが、不条理な形で事件に巻き込まれた主人公が、いくたの困難を克服して事件を解決するタイプのミステリーです。海外ではディック・フランシス、日本では原 尞あたりが好みですね。原 尞は佳作なのが残念ですが。

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