人形式モナリザ

最近は小説をあまり読まなくなっているのですが、風邪で自宅に伏せっていて暇だったので久しぶりに森博嗣のミステリイを読みました。「人形式モナリザ(講談社ノベルズ:1999年)」です。彼の本は大体7、8冊、読んでますが、どれも十分楽しめたという記憶があります。

森は彼のミステリイに必ず過去の文学や絵画などと関連付けたテーマを与えているので、トリックが解明できなくてもテーマの線から大体犯人の見当はつきます。でも必ずその他にいくつかの謎を用意しており、そちらの方であっといわせるという趣向です。今回も犯人探し以外に森が用意した2つの仕掛けには、すっかりだまされました。

森のミステリイには登場人物によっていくつかシリーズがあるのですが、「モナリザ」は、お金のないお嬢様研究者という変な性格付けの瀬在丸紅子と彼女の知り合いの大学生達が活躍するシリーズに含まれます。このシリーズは登場人物の会話が面白いので、一番気に入ってます。

 僕が古今を通じて一番好きなミュージシャンは、Nat King Coleなのですが、Nat King Coleの代表曲といえば、やはりMona Lizaでしょう。というわけで、あの曲が森のミステリイのテーマや謎解きに登場するのではないか、と期待したのですが、残念ながらそうではなかったです。

ちなみに森博嗣実は漫画家の萩尾望都の大ファンだそうです。そういえば、「モナリザ」を含めて彼の作品には究極のお嬢様的人格が良く登場します。彼が某国立N大学の建築学の助教授だったことは有名ですが、「モナリザ」に出てくる少し変わった大学生達は彼の助教授時代の観察の賜物というよりも、萩尾望都の影響が大きいのでしょう。

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