少し前の土曜日、展覧会「岸田劉生の軌跡」をやっている、うらわ美術館に行ってきました。岸田劉生には特に強い興味があったわけではないのですが、またぶらりと浦和の町を歩いたついでの事です。
岸田劉生については麗子像以外にろくに作品を知らなかったのですが、38歳という短い生涯の中に様々に作風を変化させ、かなり多数の作品を残していたことを知りました。
展覧会では、油彩画、水彩画、装丁画など、岸田が西洋画や宋画、浮世絵などの影響を受けて生み出した作品が相当な数数、展示されていました。土曜日の午前中だったのですが、会場はがらがらで、じっくり見ることができました。
意外に良かったのは装丁画で、明治から大正の時代を感じさせるデザインはなかなかしゃれていました。一時は白樺の装丁もやっていたのですね。洋画では、明らかにウイリアム・ブレイクの影響を受けた大作もありました。
作品よりも面白かったのは、凄腕の企業家だったらしい劉生の父親が日本で最初に販売した目薬に関する展示でした。ゴムの栓がついた細長いガラスのボトルが美しいのですが、その効用書きがすごい。はやり目、赤目、後は忘れたけど10種類くらいの眼病がたちどころに治るみたいなことが書いてある。いまなら間違いなく、公取に挙げられます。
劉生は「草土社」という団体を立ち上げて絵画活動を行ったのですが、その「草土社」の展覧会の貴重な写真がありました。作品が黒い幕を背景にして展示されていたことに時代を感じました。
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