これまで「冒険」と「神話」をキーワードに妄想的な本の楽しみについて、過去に読んだ本を中心に書いてきたのですけど、これからは本を中心にしながらも、それ以外の話題を交えて書いていきたいと思います。
最近読んだ本で印象に残ったのでは、ジョージ・バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」です(相変わらず古いね!)。これはあのミュージカル「マイ・フェア・レディ」の原作ですが、英文学専攻でもないかぎり、いまどきあまり読む人はいないかもしれません。
構造主義の成立に大きな影響を与えたのが音韻論だったのですが、レヴィ=ストロースに関する本を読んでいるときに、「マイ・フェア・レディ」の音楽が流れてきて、ふとそういえば「マイ・フェア・レディ」のDr. ヒギンズは音韻学の教授だったなと思い出して、あらためてその原作を読み返してみたのです。
僕が本を選ぶのに特にルールとかはないのですが、何かの連想から本を選んでいることが多いように思います。
で、その「ピグマリオン」なのですが、改めて読み返すと、ミュージカルは原作にとても忠実だと言うことが分かります。オードリー・ヘップバーンが花売り娘イライザとして登場する最初のコヴェント・ガーデンの場面も、大佐、イライザの父親、イライザに恋するフレディ等の主な登場人物も、大筋の進行も、英語の乱れに関するヒギンズ教授の言説も、ほとんど原作そのものといえます。
1点、原作にはイライザの父親がすっかり上品に変身したイライザを日本の若い貴婦人と間違えるという場面があるのですが、ミュージカルではそのような場面はありません(定かではないですが多分そうだったと思います)。
人生を怜悧な目で見つめていたショーは最後、イライザに、教授ではなく、若いフレディを選ばせるのですが、ミュージカルの結末ではもちろん、ハッピーエンドを予感させる終わり方となっています。ちなみに(「君住む街角」を歌う)フレッド役のジェレミー・ブレットは、後にTVシリーズのシャーロック・ホームズ役を演じるのですが、シャーロック・ホームズといえばこの人、というくらいのはまり役でしたね。
今回もとりとめもないことを書き連ねましたが、オードリーのイライザが良かったかどうかは異論(オードリーがいくら”H”を落として発音しようが、最初から花売り娘には決して見えない)があると思いますが、「マイ・フェア・レディ」の音楽は掛け値なしですばらしいと思います。
というわけで現在「マイ・フェア・レディ」の音楽は、僕のipodの中に入っています。
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