海底軍艦

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現代もなお我々がそのパラダイムから抜け出てはいない構造主義の始祖のレヴイ=ストロースから始めたので、語ることは山ほどあるのだけど、やはりここは「冒険」と「熱帯」について話を進めましょう。

「海島冒険奇譚 海底軍艦」という小説をご存知でしょうか。日本SFの始祖(このブログではこの言葉が良くでてくる、先駆者とは冒険者そのものだから)といわれる押川春浪が明治33年(1900年)に発表し、当時の良い子たちが熱狂した血沸き肉踊る冒険小説です。

大日本帝国海軍の士官が、アジアの熱帯のどこかの孤島で秘密裏に高性能潜水艦を建造し、さまざまな新発明の武器を駆使して当時アジアを侵略しつつあった某大国の陰謀を砕くというストーリーで、当時の時代の夢と希望をそのまま活字にしたような冒険小説の王道を行く作品です。

押川春浪の作品はもう全集でしか手に入らず、僕も図書館で初めて読んだときは、少年時代から心の底のどこかに眠っていたなにかが蘇るのを感じたものです。

ちなみに、1960年代に東宝が当時の特撮ブームに乗って、このストーリーをベースに、第2時世界大戦の末期の潜水艦の驚くべきエピソードを挿入し、ムー帝国と怪獣をくっつけて作ったのが、映画「海底軍艦」です。ある種、古典的な味わいのある原作とは似ても似つかぬ作品ですが小松崎茂画伯の創造した海底軍艦のすばらしい造形もあり、東宝の一連の特撮映画では僕の大のお気に入りとなりました。

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その、驚くべきエピソードとは、大戦末期に日本帝国海軍が建造していた潜水空母と呼ばれた巨大な伊号400系潜水艦のことです。全長は120mを超え、船内に3機の飛行艇を収容可能で、その長大な航続距離を生かして、パナマ運河を直接攻撃することが当初のミッションでした。この型の潜水艦は伊号400、401、402と3隻作られましたが、結局、ウルシー環礁攻撃の作戦行動中に終戦を向かえ、最終的には全て米軍によって接収され、海没処分されることになります。しかし、その飛行艇を射出するカタパルトをはじめとする技術は、米軍によって研究され最終的に原子力潜水艦に反映されることになります。

映画の「海底軍艦」では、実は伊号にはもうひとつ403が存在し、終戦直前に日本帝国再興のため、南海の孤島に密かに脱出していた・・・との想定から始まるのです

「熱帯」と「冒険」をキーワードにすると話が止まらなくなるので、今日はこの辺で。

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