物語としての山歩き

山の写真

山歩きにピークハントという言葉がある。ピーク=頂上の制覇をもっぱらの目的とする山登りのスタイルだ。山登りをスポーツとして捉えれば、その延長線上にこのようなスタイルが生まれることも理解できる。百名山制覇というのが目標という人も多い。

でも僕のスタイルはそれとはかなり異なる。そもそもピークに到達すること自体に、あまり興味がない。僕にとって重要なのは、山を歩くことでどのような物語が生まれるか、ということだ。だから山の高い低いにもあまりこだわりがない。もちろん夏ともなれば日本アルプスや八ヶ岳の2千から3千m級の山々に出かけるのだが、常に意識しているのは場所の持つ固有の雰囲気であり、眺望の変化が喚起する物語なのだ。

3月9日は低山ハイキングの定番「鎌倉アルプス」だった。出発点の建長寺で東北支援のバザールをやっていたため、歩く前にけんちん汁を食するという、なんともゆるい出だしとなった。その後も展望台ではのんびり休憩、頂上付近ではとんびを眺めながら昼食、茶屋ではアイスクリームを食べるというお気楽山行で、ルートの最後の端泉寺で梅を眺めた後、鶴岡八幡宮から小町通りで甘味類を食べて解散となった。

そんなお気楽な山行でも、山歩きは物語を喚起する。ましてや鎌倉である。油断して歩けば鎌倉武士の亡霊が、我々を魔界へと誘うのである。

 

最近モノクロ写真の比率が増えたのは、強力な写真編集ソフトであるLightroomを新しく入手したことも大きいかもしれない。

 

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