綺想宮殺人事件

先日代官山で見学した旧朝倉家住宅の影響だろうか、邸宅殺人事件物のミステリーが読みたくなった。このジャンルの孤絶した傑作といえる小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』の現代版のような作品を探していたら、この『綺想宮殺人事件』にたどり着いた。

確かに『黒死館殺人事件』が引き合いに出されるのも納得できるほどのペダントリーの洪水である。そしてそのペダントリーを否定してみたり、ミステリーの探偵の視点をひっくり返してみたりと、仕掛けやミステリー構造論としてのお楽しみも満載だ。要するにペダントリーとミステリーを土台にした総合エンタテイメント小説であり、やや詰め込みすぎとも思えるものの、楽しめる作品に仕上がっている。

『黒死館殺人事件』がシリアスな雰囲気を漂わせているのに対し、『綺想宮殺人事件』は一貫してユーモアがあり、全然ジャンルは違うものの、カフカに対する安部公房の立ち位置のような、余裕のある作家センスというものを感じた。

「芦辺 拓」

気分転換が必要な時にオススメの作家としておこう。

2件のコメント

  1. 詰め込みすぎがうれしいね!

    たまに破綻してるのもありますけど、読み応えがあるのは大歓迎です。
    しかしこんなに情報過多作品を生み出す秘訣って
    どこにあるんでしょうって思ったんで、
    ネットで探してみました。
    まぁ、核心部分は無かったんですけど、芦辺拓さんの性格を
    分析しているサイトh見つけました。
    http://www.birthday-energy.co.jp

    どうやら、常に見直してないと気が済まない性格らしいです。
    道理で好不調があったりするんですね。
    でもチャレンジされてるってことでしょうし、このままがんばって
    ほしいですね!

  2. やえサムさん

    コメントありがとう。そうですね。こんなに詰め込んでも全体として破綻しないのは、天性のストリーテラーと言えるでしょうね。奥泉光のようなちょっと位相のずれたようなホラ話を生み出せる作家として、これからも期待したいですね。

    artjapan

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