一日江戸人

杉浦日向子は卓越したエッセイストであり、明るい絵柄で楽しませてくれるイラストレーターであり、時にはTVで博識を披露してみせる江戸解説者だった。

この本でも彼女は江戸の庶民の日常を、ありえないほど素敵な空間に仕立て上げてくれる。常に能天気で、趣味的で、刹那的で、面白いことを誰よりも最初に探し出す才能に恵まれた杉浦日向子は、誰よりも江戸っ子だったと言える。

多分彼女は江戸からタイムスリップして来たのだろう。彼女は現代を江戸に変容させ、人々を江戸の流儀に巻き込み、自らは江戸人の長さだけ生きた後、また江戸に帰ってしまった。

江戸を分析した学者や江戸を哲学した評論家は多い。だが、杉浦日向子ほど見事に江戸を生きた人はいない。

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