コントラストの復活

節電で会社も駅もお店も、以前よりかなり暗くなった。

だがこれも比較の問題で、僕はむしろ照明が最低限になったことを歓迎している。これまでは眼に入る全ての場所が明るく照明され、その結果として世界にコントラストがなかった。

今はどこでも少し歩けば暗さに出会うことが出来る。暗さはコントラストを復活させ、陰影を作り出す。写真で言えば、以前がネガフィルムの世界で、今がコントラストの強いポジフィルムの世界だ。

節電でもうひとつ良いことは、会社のトイレが静かになったことだ。温風で手を乾燥させる機械が使用中止になったためだが、そもそも僕はこのうるさい機械が嫌いだった。ハンカチを使えばよいだけなのに。

静かで陰影のある世界は、その結果として予想外の物語をもたらす。もちろん我々は、それを復活の物語にしなければならない。