犬はどこだ

米澤穂信の「犬はどこだ」東京創元社

父の初盆で帰省していて、しばらくブログはお休みだった。都会では初盆という習慣も廃れつつあるが、まだ福岡では現実の儀式なのだ。初盆の期間中待っている時間が結構あるのだが、本を用意しそこねてしまった。それで、空港で買ったのがこの本。作者の米澤穂信はライトノベル出身の作家らしい。全くこの作者を知らなかったのだが、題名が面白そうだから買ってみた。

サラリーマンから脱落した青年が犬を探す探偵社を設立したのだが、ひょんなことから殺人事件に巻き込まれるというすこしコミカルな設定。最後はちょっとスリリングな展開となる。語り口は巧妙で、全体としてはよくできた小説だと思う。

最近は小説に出てくる山の要素が気になる。

今回の小説では、舞台のひとつである喫茶店の名前が「ジャンダルム」。山をやらない人にはピンとこないかもしれないが、、西穂高岳と奥穂高岳との縦走路の途中にある有名な難所だ。ちょっと僕には歯が立たないレベルの山域だ。

最後に主人公は久しぶりのトレッキング・シューズに足を入れ、山の中で殺人者と対峙することになる。

どうやら、山のイメージ、小道具が効果的に使われるだけで小説の評価が甘くなるようだ。最近は空想読書館より空想登山館に近いかもしれない。

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