伊藤元重の「危機を越えて すべてがわかる『世界大不況』」 講談社
最近、池田信夫のブログが面白くて毎日見てる。以前は経済学の理論を解説している記事が多くて難解だったのだが、最近は素人向けの分りやすい記事が主体になってて、僕でも面白く読める。左派からは市場原理主義の権化のように言われている池田だけど、少なくとも問題の本質に迫る力、論点の整理の仕方は抜群のものがある。理論的なだけに結論が時に極端に走ることがあるが、イデオロギー的な偏りはむしろ少ないと思う。
一方、今回読んだ「危機を越えて」の伊藤元重はとてもバランスの取れた人だ。この本を読んで感じるのは、日本の経済の現状と課題への認識に伊藤と池田の間にほとんどずれはないということだ。伊藤の解決の方向性も従って、規制改革、生産性向上や内需拡大が主であるが、それを柔らかな表現で包み込み、現実的な処方をしているだけだ。
いずれにしろ、民主党(もちろん自民党もそうだったが)が得意のばらまきは、短期的にも中長期的にも役に立たないことははっきりしている。ともあれ、政権発足直後の民主党が不況と少子化のさなかにある日本ですぐに成果を出すことは難しいので、ある程度我慢強く見てやる必要はあるだろう。マニフェストの全てを実施することはもちろん不可能だし、いずれ修正を迫られるだろう。その時、誰もが注目する雇用対策において、ばらまきではなく、規制緩和により雇用のパイを広げる方向にどれだけ舵を切れるか、に注目している。
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