下剋上の文化

読書

横井清の「下剋上の文化」東京大学出版会

P8295161b

この本は表紙に惹かれて借りてしまった。表紙に使われた写真は武悪(ブアク)の面である。この本では武悪を、下剋上の時代を生き抜いた狡猾で俊敏な反逆の庶民の代表として位置づけている。武悪面は後に鬼神面に転用されたらしいが、このいかにも人間くさい面構えは、庶民のたくましさを演じることがよりふさわしいと思う。

明日は選挙だ。政治における変革が起こりそうな期待があるけど、各党が競っていることは端的に言えば「ばらまき」のやりかたである。それはつまりある層から別の層にお金を移動させる所得移転以上のものではなく、経済を活性化させることは残念ながらほとんどない。それは日本における反逆の伝統的ダイナミズムである「下剋上」の名に値しない「何か」であることは、庶民が既に体験済みのことなのだけど。

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