ユージニア

恩田陸の「ユージニア」。犯人が最後まで分からない系の推理小説でした。

明らかに金沢を舞台にしたと分るK市で大量毒殺事件が発生し、その実行犯が死亡して発見されるのですが、その犯人に共犯者あるいは教唆をした者がいたのではないか?という推理の物語。意外にかなり早い段階で犯人らしき人物が分かるようになっているのですが、結局、最後まで謎は謎のまま。

事件に関連した人達からの証言が細部で食い違っているため、だんだん事件が迷宮のように見えてくるのだが、はたして事実とは何か?というスタイルの小説って結構あり、この本でも個々の証言で人称が変わったり、時制を入れ替えたりと、読み手に不安を抱かせるテクニックが多用されます。でも、それらの証言の事実関係が食い違うことはほとんどなく、基本的に謎解きの小説ではありません。

この小説は、犯人らしき人物の個性とその人物を取り巻く独特の空間の物語、一種のファンタジー小説として読むべき本です。途中でそのように意識を切り替えたら、その後は結構楽しめました。去年金沢に旅行したばかりなので、兼六園らしき公園の描写や町の風景なんかにリアリティが感じられたので、僕の中でむしろ幻想性が増大したような気がします。

2件のコメント

  1. はじめましてMr.X の嫁のきみどんと申します。

    この作品読みました!
    フランス映画を彷彿させるような心地の悪さ、釈然としないところに
    惹かれた作だと思いました。
    恩田さんの作品は好きで積読も多少残っております(笑)

    金沢の描写は、朝露が残ってそうなそんなしっとり感があり
    古都に憧憬すらおぼえました。
    いつも難しい本を読まれてはるのですが
    やっと読了本が登場し、ついコメントさせてもらいました♪

  2. きみどんさんはじめまして。artjapanです。

    確かにはっきりしない、耽美的ともいうような感覚はフランス映画のようですね。ハリウッド映画よりも好きですが。

    明らかに「さるすべり」が謎のキーであると思わせる導入なので、僕は一生懸命さるすべりの色と「犯人」の視覚について考えて見たりしたのですが、何のことはない、「さるすべり」もまた謎を深めこそすれ、解決のキーではなかったですね。まあそれが恩田陸スタイルということでしょう。

    Mr.Xと「先生」によろしく。

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