結晶世界

読書

昨日「悲しき熱帯」について、とても単純化した冒険小説としての楽しみ方を提示したけど、本当はまれに見る多義的な書物です。僕はこの本(上下2巻)を読むのに、(通勤中にほとんど読んだとはいえ)、2ヶ月を要しました。読み進めるとあまりにイメージが膨らんで、少し読んでは瞑想にふけることの繰り返しを余儀なくされたからです。

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挙句に、途中で一旦読み進めるのを中止して、しばらくぶりにJ.G.バラードの傑作「結晶世界」を取り出して一気に読んでしまいました。南米とアフリカ、民俗学とSFの違いがあれ、この2つの著作は僕の頭の中で、熱帯の幻想として渾然一体となってしまったのです。

「水晶のような樹が輝く洞窟の中の像のようにたれさがり、頭上の葉が宝石の枠をなして、溶け合い、プリズムの格子となり、そのあいまから、陽光が何百もの虹を作って照りつけ、鳥も鰐も、ひすいや紋章の動物のようにグロテスクな姿勢に凍り付いている・・・」

J.G.バラードはそれまでの自然科学を基層としたSFから飛躍し、人間の内面への探求という新しい領域を開拓した人です。その文体は象徴性と暗喩に富み、どこかレヴィ=ストロースを思わせます。あるいは彼もまた、自身が意識していたかどうかは別として、芸術と科学の垣根を安々と行き来したレヴィ=ストロースの影響を受けていたのではないでしょうか。

連想と空想を媒介にして、僕の読書はふらふらと当てもなく続くようです。

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